はじまりの水に
錨をおろす
そこから
はじまって
いつの間にか
旅に出た
そうとは
気づかないまま
押し出されるように
遠い遠い
海をわたって
深い深い
海をもぐって
いつしか
はじまりの水は
忘れられていた
はじまりの水は
姿を変えながら
ずっとそこにいた
けれど
決して名乗らない
名乗ってしまったら
そうではなくなって
しまうから
しずかに
見守っている
ほんとうは
いつでもずっと
その場所に
錨を
おろしていたと
思い出すとき
旅のすべては
その一点に
かえりつく
その一点から
旅のすべてを
あいしている
その一点から
ひらいてゆく