物語が溢れ出すことがある。

とあるエネルギー、さまざまな色を湛えるそれを、伝えるお話し。

春の日のように、うれしかったこと。終わらない豪雨のように、あまりにもかなしかったこと、やりきれなれなかったこと。しずかな月明かりのように、そっと救われたこと。最後まで言葉にしなかったこと。残された約束。

約束は残されて、時間を超え、めぐり、つなぐ。すっかり忘れているけれど、どこかでちゃんと覚えている。

見えない何かに、引っ張られるようで、押されるようで、そんなものはなくてもよいと、思うのかもしれないけれど。

どうやら、その不思議な引力が、ここでの体験をつくり、ゆたかにしているようだ。



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思い出されて、溢れ出し、空へ溶けてゆくべきは、溶けてゆく。

そして、その引力が描く魔法は、ここに残される。

わたしたちは、物語を、濾過して、濾過して、どこまでも濾過して、そのエッセンスを取り出す、ということを、しているのかもしれない。

いろいろが混ざって、濁って、エッセンスなど見えなくなっていた状態から、ていねいに、ていねいに、ときに大胆に、濾過してきたのかもしれない。

その純粋さを、ここで、見てみたかったのだ。

その純粋さを、ここで、ひらいてみたかったのだ。






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